一昨日の朝、付近の路地を走っているとツユクサの群落があって、そのツユクサの葉に、体長5-6mmの1匹の小さな瑠璃色の甲虫がいるのに気がついた。
この昆虫には思い出があった。高校生の頃にこの昆虫に気がついて、非常勤の生物の先生の安富和夫先生(僕の一生の方向に大きな影響を与えてくださった方)に名前をうかがった。先生によると、体全体が瑠璃色の個体はハムシ科、Lema 属のものであるが、種名までは分からないとのことだった。よく観察して見ると、そっくりのもので全体がオレンジ色の個体、胸部や頭部がオレンジ色で翅鞘(後翅を覆う背中を覆う硬い構造で前翅が変化したのも)が瑠璃色の個体など、色々な色のものがいることも分かった。そこで、交配実験などをして、この色彩の遺伝的な解析をしようとしたが、根気がなくて中途でやめてしまった。
そんなことを思い出して、インターネットで検索をして見たところ、こういう形をしたハムシでツユクサを食べるものはアカクビボソハムシ(Lema diversa)ということが分かったが、今回見た個体はこの種であるか、それに近い種だろうと考えられた。
そこでさらに、アカクビボソハムシを検索してみたところ、なんと1950年の安富和夫先生の論文が出てきたのである。それによると、先生は違った学名がついていたこの昆虫の色々な色彩の個体の交配実験を試みた結果、色彩の変異は三つの複対立遺伝子で説明が出来ると報告しておいでだった。
先生はそこまで研究しておいでで、僕に名前を教えてくださったのかと、いまさらのように先生の立派さに感銘を受けた。そして、今回見て、写真に撮った、体全体が瑠璃色の個体はアカクビボソハムシに入るのかどうかはやはり疑問のままとなった。
安富先生はまだご健在で世田谷区におすみになっている。数年前に、ある席にお招きしたことがあったが、その後、ご無沙汰している。近く伺ってみたいと思っている。
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