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2010年5月21日金曜日

病床五尺 その7

5月21日 金曜日 晴れ

 目が覚めると、朝日がカーテンの隅にあたっている。
僅かでも外界とのつながりが嬉しい。昨夜は比較的、よく眠れたようだ。
 食事と言い、排便と言い、睡眠と言い、すべてがだんだんとここの環境に体が適応してきているのだろう。朝、夜勤の看護婦のSさんが声をかけてくれる。色白。屈託のない人で、快く撮らせてくれた。目が笑っている



今日も朝食は美味しく食べられ、食後におせんべいを1枚食べた。
今日の午前中の血圧は山口看護婦さんが測ってくれて、上が128、下が76で、体温が36.6度、血中酸素は98とかで腰椎以外、体長は良好そう。天気予報によると、今日は晴れで日中は30度に上がるという。

窓の外がカーテンの隙間から見えたが、緑の樹木と、屋根瓦、その向こうにソーラー・パネルが見えている。さぞや今日は発電量が多いのでは。




 同室の人たちは最年長が96歳のKさんで、いうことはしっかりしておいでで、ひとかどの人かと思っていたら元校長先生だった方と言う。ご自分でベッドから車いすに移動もできなくはないようだった。次はYさんで82歳、言葉も体もかなりご不自由な様子であるが、お顔など拝見すると、Kさんに劣らずいい顔をしておいでである。次が小生、78歳、4人の中で一番若いのが、Tさん74歳で、車いすで室内室外、自由に行動がおできになり、最初に小生に声をかけて下さったひとである。ただ、今日明日に自宅療養ということで退院なさるという。

昨日から、美術館のKさんが持ってきて下さった、淡島寒月著の梵雲庵雑話を読んでいる。明治の比較的早い時代の新聞などの文章が、なんとなく西鶴の文体と似た感じがしていたが、西鶴好きの彼が西鶴を仮名垣魯文、末広鉄腸、成島柳北などの当時のジャーナリストに紹介したと書いてあった。なるほどと思った。はじめ、もしかすると、漱石の猫に出てくる水島寒月君は淡島寒月と関係があるかとも思ったのであるが、猫の方の寒月君は、理学士で寺田寅彦がもでるなのであるから、無関係である。でも淡島寒月の趣味の世界と、漱石の猫の世界は相通ずるものがある。

夜、主治医の大井先生が見えて、問診だけで、後は僕の年齢を確かめて、来週半ばから車椅子にとのたまった。思いがけなかったので嬉しかったが、来週水曜日で骨折してから2週間だからそんなものかとも思う。楽しみである。









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